Letter
触媒:鉄含有ゼオライトにおける低温メタン水酸化の活性部位
Nature 536, 7616 doi: 10.1038/nature19059
メタンをメタノールに変換する高効率触媒過程は、広範囲わたって経済的影響を及ぼす可能性がある。この点で、鉄含有ゼオライト(細孔性アルミノケイ酸塩鉱物)は、室温で迅速にメタンを水酸化してメタノールを生成する優れた能力があることから、注目に値する。反応性はα- Fe(II)と呼ばれる格子外活性部位で生じ、この部位が亜酸化窒素によって活性化されて反応性中間体α- Oを生成する。しかし、30年近い研究にもかかわらず、この活性部位の性質やその並外れた反応性を決定付ける要因はよく分かっていない。主な問題は、反応種であるα- Fe(II)とα- Oを分光法で調べるのが困難なことである。例えばX線吸収分光法や磁化率などのバルク分析法から得られるデータは、不活性な「傍観者」である鉄の寄与によって複雑化する。今回我々は、生物無機化学で常用される部位選択的な分光法でこの問題を克服できることを示す。磁気円二色性によって、α- Fe(II)は単核高スピン正方平面Fe(II)部位であることと、反応性中間体α- Oは単核高スピンFe(IV)=O種であり、その並外れた反応性はゼオライト格子によって強いられた束縛配位構造に由来することが明らかになった。こうした知見は、不均一系の活性部位を調べる今回の手法の価値を例示するものである。また、今回の結果は、マトリックスによる束縛を用いて、官能性を示すように金属部位を活性化すること、すなわち金属酵素の分野では「拘束的」状態と呼ばれている状態を作り出すことは、不均一触媒の活性を調節する有用な手段になり得ることも示唆している。

