Letter
発生生物学:収縮性領域の非対称分裂が細胞の位置決定と運命指定を結び付ける
Nature 536, 7616 doi: 10.1038/nature18958
哺乳類の胚は着床前発生の段階で自己組織化して、全ての胚性組織を生み出す内部細胞塊(ICM)と、それを包み込む上皮層で構成される胚盤胞となる。マウスでは、方向性を持った細胞分裂、頂底極性、およびアクトミオシンの収縮性が、ICMの形成に寄与すると考えられている。しかし、これらの過程が連携して働く仕組みについては分かっていない。今回我々は、頂端領域が非対称に分離することで、異なる収縮性を持つ割球が作られ、その結果、割球が内側もしくは外側の位置へと並び替えられることを示す。胚形態形成の三次元物理モデルは、表面の収縮性の違いが予測閾値を超えた場合にのみ、細胞が内在化することを予測した。我々は、このモデル予測を生物物理学的な計測により検証するとともに、母系ミオシン(Myh9)ノックアウトのキメラ胚を用いることにより発生中の胚盤胞内における細胞の位置選別を方向付けることに成功した。さらに我々は、収縮性が失われると、割球はその位置にかかわらずICM様のマーカーを発現させることを見いだした。特に、収縮性はYapの細胞内局在を制御することから、胚盤胞における細胞系譜が決まる際に細胞は機械刺激を感受している可能性が考えられる。我々は、収縮性が割球の位置決定と細胞運命指定とを結び付けていると結論する。収縮性によるこうした結び付きが、割球の胚盤胞への強固な自己組織化を保証し、哺乳類胚が持つ著しい調整能力の源泉となっていると我々は提案する。

