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がん遺伝学:数種の二枚貝で見られる、異なる複数のがん細胞系統の広範な伝播

Nature 534, 7609 doi: 10.1038/nature18599

多くのがんは体細胞のゲノムに起こった発がん性の変化によって生じ、がん細胞は転移によって移動することはあっても、その個体内にとどまっている。ある個体から別の個体へのがん細胞の自然伝播は、哺乳類では2つの例(タスマニアデビルとイヌ)が確認されているが、自然界では非常に珍しい例外的なものだと一般に考えられている。しかし、オオノガイ(Mya arenaria)で伝播性のがんが発見され、がんの伝播という現象がもっと広く存在する可能性が示唆された。今回我々は、キタノムラサキイガイ(Mytilus trossulus)、ヨーロッパザルガイ(Cerastoderma edule)およびマルスダレガイ科のPolititapes aureusの播種性腫瘍を分析し、3種全てに見られる腫瘍が、それぞれ異なる複数の伝播性がん系統に起因することを示す。キタノムラサキイガイとヨーロッパザルガイでは、がんの系統はそれぞれの宿主に当たる種に由来しているが、意外にも、P. aureusのがん細胞は全て、同じ地理的地域に生息するマルスダレガイ科の別種Venerupis corrugataに由来するものであった。これまで、同地域のV. corrugataでは播種性腫瘍は一例も見つかっていない。これらの知見から、海洋環境中ではがん細胞の伝播が複数の種で普通に見られること、このような伝播の起源は多数あること、また、大多数の伝播性がんはそれが出現した種内に広がるが、種を越えたがん伝播も起こり得ることが明らかになった。

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