発生生物学:協調的な心筋細胞の相互作用が心室チャンバーの形態形成を導く
Nature 534, 7609 doi: 10.1038/nature18310
多くの器官は、器官の機能を最適化するように構造的に組織化された複雑な組織壁から構成される。特に、心臓の心室心筋壁は稜線状の内部肉柱層を同心円状に取り囲む外部緻密層を構成する。この心筋壁の形態形成の異常はさまざまな型の先天性心疾患や心筋緻密化障害をもたらす可能性があるが、適切な空間的大きさと心筋量の心室壁層を形成するために胎生心筋細胞が会合する仕組みは分かっていない。今回我々は、ゼブラフィッシュで先端的な遺伝学的手法および画像化技術を使い、心筋のノッチとErbb2シグナル伝達間の相互作用が、心筋細胞を心室壁の適切な形態学的位置へ空間的に割り付けるよう指示していることを明らかにする。以前の研究では、心内膜ノッチシグナル伝達がErbb2および骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達を介して心筋の肉柱形成を細胞非自律的に促進することが示されているが、我々は特定の心室心筋細胞集団が心筋のノッチ活性を持ち、これが細胞自律的にErbb2シグナル伝達を抑制し、心筋細胞の出芽と肉柱形成を妨げることを見いだした。心筋特異的ノッチ不活性化は過剰な肉柱形成のため内腔が小さく壁の厚い心室形成につながり、一方広範な心筋ノッチ活性は内腔が大きく壁が単細胞層からなる肉柱を持たない心室形成をもたらす。このノッチシグナル伝達が、出芽し新たな肉柱を形成する近隣のErbb2活性化心筋細胞により非細胞自律的に活性化されることは特記すべきである。従って、以上の結果は心室心筋壁を形態学的に形成するために心筋細胞の会合を導く相互作用的細胞フィードバック過程があることを裏付けており、より広い意味ではさまざまな細胞系譜が組織化されて形態を形成する仕組みの細胞動態についての手掛かりを与える。

