Letter
分子生物学:翻訳の読み過ごしを軽減
Nature 534, 7609 doi: 10.1038/nature18308
翻訳作業に当たっているリボソームの一部は、終止コドンに到達してもうまく翻訳終結できず、C末端が不適切に長くなった新生タンパク質を作ってしまう。こうして伸長されたタンパク質は正常な細胞過程を妨げている可能性があるが、既知の翻訳監視機構では、細胞に大きな影響が現れないようにするには不十分である。今回我々は、線虫の一種であるCaenorhabditis elegansで遺伝子導入とCRISPR–Cas9系による遺伝子編集とを組み合わせて行うことにより、細胞には、終止コドンでの翻訳終結の失敗によって生じたC末端が伸長したタンパク質の蓄積を防止するという、一貫した能力があることを明らかにする。タンパク質レベルを下げるには、3′非翻訳領域(UTR)にコードされた複数の塩基配列だけで十分であった。mRNAレベルと翻訳の測定から、C. elegansのこれらの配列は翻訳と同時か翻訳後に作用する仕組みであることが示唆された。ヒト細胞でも同様の仕組みが明らかに働いており、組織培養アッセイでは、翻訳されたヒト3′ UTR配列にも成熟タンパク質の発現を減少させる同様の傾向が見られた。そうしたヒト3′ UTR配列の中には、ヘモグロビンのハイポモルフな終止コドン変異体である「Constant Spring」に由来するものも含まれる。3′ UTR配列には、伸長したタンパク質を不安定化するペプチド配列がコードされていて、望ましくないさまざまな翻訳エラーを軽減する働きをしている可能性が示唆される。

