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量子情報学:量子イジングモデルを実現する単一リュードベリ原子の調整可能な二次元配列
Nature 534, 7609 doi: 10.1038/nature18274
スピンモデルは、複雑で強く相関した現実世界の物質のモデル化に使われる単純化した多体ハミルトニアンの典型的な例である。しかし、そうしたモデルは、特性が単純化されているにもかかわらず、粒子数が数十個を超えると、そのダイナミクスを古典的コンピューターでは厳密にシミュレートできないことが多い。そのため、光格子中の極低温の原子や分子、あるいは捕獲イオンを用いて、原子物理学や分子物理学の手法を使ったスピンハミルトニアンの量子シミュレーションが、ここ数年で非常に活発な分野になっている。こうした方法の全てに、特有の長所と短所がある。本論文では、充填率が60~100%の範囲にある任意の幾何学的構造の、二次元配列の調整可能な光マイクロトラップ中に捕獲した個々の原子を使って、スピン系を調べる新しいプラットフォームを報告する。エネルギーの高いリュードベリD状態へ励起されると、原子は強い相互作用を受け、その相互作用の異方的な特性から、エキゾチック物質をシミュレートする道が開かれる。最大30個のスピンがある横磁場中の量子イジング型スピン1/2系のダイナミクスを、一次元と二次元のさまざまな幾何学的構造と広範囲の相互作用強度に対して調べ、我々の系の汎用性を例証した。異方性がダイナミクスに及ぼす影響が小さいと予測される幾何学的構造では、スピン1/2系のab initioシミュレーションと極めて良い一致が見られたが、異方性の強い状況では、D状態の多準位構造が、測定可能な影響を及ぼすことが分った。今回の知見は、単一リュードベリ原子配列を、量子磁性を調べる汎用プラットフォームとして確立するものである。

