材料科学:ポリマーの低温延伸による多材料ファイバーとフィルムの制御された断片化
Nature 534, 7608 doi: 10.1038/nature17980
ポリマーの低温延伸は、引張応力によって延伸されるファイバーの直径(または延伸されるフィルムの厚さ)を小さくし、ポリマー鎖を配向させる工程である。低温延伸は、長年にわたって、ポリエステルやナイロンといった引張強度の高い柔軟なファイバーの製造などに工業的に用いられてきた。しかし、複合材料構造体の低温延伸はあまり研究されていない。今回我々は、脆性コアを延性ポリマークラッド中に埋め込んだ構造の多材料ファイバーでは、低温延伸することによって意外な現象が起こること、すなわち、予想されるコアの不ぞろいな断片化ではなく、コアが制御性よく逐次的に断片化されて、サイズのそろったロッドが数メートルのファイバーに沿って形成されることを示す。こうした埋め込まれた状態のロッド構造は、「ネック(くびれ部分)」伝搬に伴う機械的–幾何学的不安定性に起因する。つまり、横断方向の形状が複雑で構造化された埋め込み型の多材料の糸は、コアが周期的なロッド列に断片化され、ポリマークラッド中に安定して保持される。こうしてできたロッドは、次に、クラッドを選択的に溶かすことによって容易に抽出できる。あるいは、熱的修復によって自己回復し、糸状の脆性コアが再形成される。我々の方法は、円筒形状だけではなく平面形状の複合材料にも適用できる。この場合、埋め込まれた脆性フィルムやコーティングされた脆性フィルムが、低温延伸によって、延伸軸に対して垂直に配向した細い平行な帯に切断される。この効果の汎用性を確認するために、シリコン、ゲルマニウム、金、ガラス、絹、ポリスチレン、生分解性ポリマー、氷などの、さまざまな材料を調べた。我々は、横断方向の最小スケールと長手方向の切断周期の間に線形関係を見いだし、これを非線形有限要素シミュレーションで検証した。今回の結果は、ナノスケールのベネチアンブラインド効果による動的かつ熱可逆的なカモフラージュ技術や、高感度の生物学的検出を容易にする大面積構造化表面の開発につながる可能性がある。

