分子生物学:細菌の複製起点エレメントDnaA-trioはイニシエーターの一本鎖DNAへの結合を確実にする
Nature 534, 7607 doi: 10.1038/nature17962
DNA複製は、遺伝情報が必ず正確に受け継がれるよう厳密に制御されている。どのような生物でも、AAA+(細胞のさまざまな活性に関わるATPアーゼ)ドメインを持つイニシエータータンパク質が複製起点に結合することで、新たなDNA合成サイクルの開始が許可される。細菌では、マスターイニシエータータンパク質であるDnaAが非常に良く保存されており、DnaA には2種類の重要なDNA結合活性が備わっている。DnaA単量体は、二本鎖DNA塩基配列(DnaAボックス)に結合して複製起点(oriC)を認識した後、集合してDnaAフィラメントを形成し、一本鎖DNAに結合してそれを引き伸ばすことで二重らせんをほどいていく。DnaAの二本鎖DnaAボックスに対する特異性については30年以上にわたる研究で解明が進んでいるが、一本鎖DNAに結合する際の塩基配列特異性についてはいまだによく分かっていない。今回我々は、細菌の複製起点に不可欠な新規エレメントを明らかにし、この3ヌクレオチドモチーフの反復で構成されるエレメントをDnaA-trioと名付けた。DnaA-trioの機能は、一本鎖DNA上でDnaAフィラメントを安定化することであり、それによってこの結合機構に不可欠な正確性をもたらしている。バイオインフォマティクス解析で、細菌界全体にわたって複製起点にDnaA-trioが見つかり、このエレメントがoriCのコア構造の一部であることが示された。DnaA-trioという新規エレメントの発見と特性解析により、細菌のDNA複製開始についての基本的理解が深まった。また、AAA+イニシエータータンパク質の構造はよく保存されていることから、今回の知見によって、より高等な生物の複製起点にも特異な認識モチーフが存在する可能性が出てきた。

