微生物群集:ヒトの微生物動態の普遍性
Nature 534, 7606 doi: 10.1038/nature18301
ヒトに関連する微生物群集はヒトの健康や幸福を決める非常に重要な役割を担っており、その結果、糞便微生物相移植などのマイクロバイオームを基盤とする治療法の開発が継続的に行われている。これらの微生物群集は非常に複雑かつ動的で、高度に個別化された生態系であり、種の構成および豊富さのプロファイルの両方で個人間の高度な多様性を示す。これらの群集の基礎をなす生態学的動態は、集団動態モデルにおける増殖率、種内および種間の相互作用によってパラメーター化できるが、これが主として宿主非依存的(つまり、普遍的)であるのか、宿主特異的であるのかどうかは分かっていない。個人間の多様性が、宿主の生活様式、生理学的あるいは遺伝学的な違いによる宿主特異的な動態を反映するならば、一般的なマイクロバイオームの操作は意図しない結果になる可能性があり、効果がなかったり、有害になったりさえするかもしれない。あるいは、ヒトの微生物生態系は普遍的な動態を示す可能性もあり、この場合は個人間の多様性は主に定着している種の組み合わせの違いから生じていることになる。今回我々は、ヒトの微生物動態の特徴を明らかにする新しい計算方法を開発した。我々はこの方法を2つの大規模メタゲノム研究(ヒトマイクロバイオームプロジェクトおよびStudent Microbiome Project)から得た横断的データに適用することにより、腸内および口腔内のマイクロバイオームは顕著に普遍的な動態を示すが、特定の皮膚部位に関連する群集はおそらく宿主環境の違いによって形成されることを明らかにする。腸内の微生物動態の普遍性は、Clostridium difficile感染を繰り返す被験者には観察されないが、同じ被験者群で糞便微生物相移植後には観察された。これらの結果は、ヒト微生物生態系を形作る過程についての我々の理解を根本的に改善し、マイクロバイオームを基盤とする一般的な治療法設計の道を開く。

