Letter

古人類学:フローレス島の中期更新世前期のフローレス原人様化石

Nature 534, 7606 doi: 10.1038/nature17999

ヒト族の小型種フローレス原人(Homo floresiensis)は、これまでフローレス島西部のリャン・ブア(インドネシア)で発見された遺骨のみによって知られており、その進化的起源に関しては激しい議論が行われてきた。論争の的は、後期更新世に存在したこの原始的な種が初期のアジアのホモ・エレクトスから進化したものであって、島の環境内でヒト族の体と脳のサイズに生じた進化的逆行を示す独特の際立った例であるのかどうかという点である。もう1つの仮説は、フローレス原人がホモ・ハビリスのような脳の小さいそれ以前のヒト属(Homo)種、あるいはさらに古い後期のアウストラロピテクスから派生したものであって、これまで明らかにされていない200万年前までのアフリカからアジア東部へのヒト族分散を示しているというものである。本論文では、フローレス島中央部ソア盆地の中期更新世遺跡(マタ・メンゲ)で2014年に発掘されたヒト族化石について記載する。標本は、下顎の断片1個と、顎も歯も小さい3個体以上に由来する分離した6本の歯からなる。これらの化石の測定年代は約70万年前であり、フローレス島で発見されたヒト族の遺骨として現時点で最古のものである。これらマタ・メンゲの下顎および歯は、寸法や形態的特徴がリャン・ブアのフローレス原人のものと類似している。例外は下顎の第一大臼歯で、さらに原始的な状態を維持している。特に、マタ・メンゲの下顎および大臼歯は、リャン・ブアの既存のフローレス原人2個体のものと比較してさらに小型である。アウストラロピテクスやホモ・ハビリスと比較してこれらのマタ・メンゲの化石が派生的であることから、フローレス原人はアジアの初期のホモ・エレクトスの小型化した派生種であるという見方が支持される。今回の知見は、フローレス島のヒト族が、フローレス原人に特有の極端に小さい体サイズや他の形態形質を予想外に早く獲得したことを示唆している。

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