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材料科学:準安定高エントロピー二相合金は強度と延性のトレードオフを解決する

Nature 534, 7606 doi: 10.1038/nature17981

金属は数千年にわたり、人類の最も重要な材料となってきたが、金属の使用は、環境上の問題や経済的な問題の影響を受ける。より高い強度と延性を持つ合金は、重量を減らし、エネルギー効率を改善することでこうした問題のいくつかを軽減できる可能性がある。しかし、強度を高める冶金学的機構の大半では延性が失われる。これは、強度と延性のトレードオフと呼ばれる効果である。本論文では、組成が等しい複数の高エントロピー相を持つ、ナノ構造化したバルクの高エントロピー合金を設計する準安定性の工学的戦略を示す。高エントロピー合金は、もともとはエントロピーを最大にして相を安定にすることから利益が得られるよう提案された。しかし最近、この関係が弱いことを実証して、高エントロピー合金の組成に関する厳しい制約条件を緩和する研究が報告されており、今回はこの概念を逆転させた。我々は相安定性を低くすることで、2つの重要な利益を得た。すなわち、二相微細構造によって生じる界面硬化(高温相の熱安定性の低下に起因する)と、変態誘起硬化(室温相の機械的安定性の低下に起因する)である。これにより、先進鋼で知られている、相安定性の低下に起因する著しい硬化と、高エントロピー合金の大きな固溶体強化という、2つの分野での最良の特性が組み合わさったことになる。我々の、変態誘起塑性により支援された二相高エントロピー合金(TRIP-DP-HEA)では、こうした2つの寄与によって、結晶粒内のすべり抵抗と結晶粒間のすべり抵抗がそれぞれ増強されるため、強度が高くなる。さらに、安定相の転位硬化と準安定相の変態誘起硬化によってひずみ硬化能の増大が可能になり、延性が増大する。強度の増大と延性の増大を兼ね備えていることから、TRIP-DP-HEA合金は他の最近開発された構造材料と区別される。従って、今回の準安定性の工学的戦略は、高エントロピー合金のほぼ無限大の組成空間での有益な設計指針となるはずである。

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