宇宙物理学:活動的な超大質量ブラックホールへ落ち込む低温で塊状の降着
Nature 534, 7606 doi: 10.1038/nature17969
銀河中心部の超大質量ブラックホールは、ガスの降着によって成長でき、銀河全体のスケールで星形成を調整する可能性があるエネルギーを解放する。とはいうものの、ブラックホールの成長の原動力となるガス燃料のリザーバーの性質は、観測によってはほとんど絞り込まれておらず、通常はその代わりに、非常に高温なガスの一様で球状の流入として単純化されている。最近の理論とシミュレーションは対照的に、降着は非常に低温な分子雲の確率的で塊状の分布に支配されているという「高温モード」の降着モデルから逸脱した可能性を予測しているが、この予測に対する観測による明確な裏付けはまだ見つかっていない。本論文では、高温プラズマの高密度なハローに取り囲まれた近傍(赤方偏移z = 0.0821)の巨大楕円銀河である、Abell 2597 Brightest Cluster Galaxy(BCG)の中心核にある超大質量のブラックホールの燃料リザーバーに向かう、低温で塊状の降着流を示す観測について報告する。適切な状況下では、熱不安定性によって、銀河の中心に向かって落下する低温の雲の雨が生じ、そのコアに見られるキロパーセクスケールの分子状星雲の中での星形成が維持される。今回の観測は、こうした低温の雲がブラックホールの降着にもエネルギーを供給していることを示しており、こうした分子雲が活動的な超大質量ブラックホールへ向けて毎秒約300 kmで内側へ移動する際に、ブラックホールが明るい背景光となって分子雲によって投影された「影」が明らかになった。温かい原子状のガスの極めて高い空間解像度でのこれまでの観測から得られた裏付けとなる証拠、ならびに幾何学と確率論に基づく単純な推論から、こうした雲はブラックホールの最も内側の数百パーセク内に存在し、ブラックホールのより近くに向かって落下していることが示される。

