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がん治療:新世代mTOR阻害剤によりmTORの耐性変異を克服する
Nature 534, 7606 doi: 10.1038/nature17963
精密医療は腫瘍細胞に選択圧を加え、それは耐性を持つ亜集団が優先的に増殖することにつながるため、進化するがんに対処するための次世代治療法の開発がどうしても必要となる。PIK3CA–AKT–mTOR経路は、ヒトのがんで最も広く活性化が見られる経路の1つであり、それがこの経路のさまざまな中継点を標的とする低分子阻害剤の開発につながった。こうした薬剤の中で、第一世代のmTOR阻害剤(ラパマイシン誘導体)は「N-of-1」試験で効果を示し、そして第二世代のmTORキナーゼ阻害剤(TORKi)は目下、臨床試験中である。我々は、次世代治療指針となるように、既存のmTOR阻害剤に対してヒト細胞株で起こりそうな耐性機構の解明を試みた。TORKiに対する耐性機構は、mTORが本来持っているキナーゼ活性が上昇し、活性部位の変異が薬剤の結合に直接干渉することはないという異例なものであった。実際、同じ薬剤耐性変異は薬剤未投与の複数の患者でも見つかっていて、活性型MTOR変異を持つ腫瘍は、第二世代mTOR阻害剤に対して本来的に耐性を持つと考えられる。我々は、既存の第一世代および第二世代阻害剤に対する耐性を克服する新種のmTOR阻害剤を開発したことを報告する。この第三世代のmTOR阻害剤は、2つの薬剤結合ポケットを独自の形に並置することにより二価相互作用を生じさせ、このような耐性変異の抑制を可能にしている。

