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進化遺伝学:英国のオオシモフリエダシャクの工業暗化をもたらした変異は転位因子の挿入だった

Nature 534, 7605 doi: 10.1038/nature17951

環境変化への適応を促進する変異事象を発見することは、進化生物学においていまだに重要だが難しい課題である。目に見える進化的応答として教科書で取り上げられる例に、オオシモフリエダシャク(Biston betularia)の工業暗化がある。産業革命の間に、標準的な淡色型(typica)が減ってそれまで知られていなかった暗色型(carbonaria)が増えたという現象で、鳥類による捕食と石炭の燃焼による大気汚染との相互作用がその原動力とされる。暗色型に関わる遺伝子座の位置は、約200キロ塩基の領域にまで大まかに絞り込まれているが、暗色型–淡色型多型を支配する塩基配列がどのようなものであり、2つの型でどう違うのか、またその違いが影響する遺伝子が何であるかも明らかになっていない。今回我々は、英国で工業暗化を生じさせた変異事象が、縦列反復配列でできた大型の転位因子の、cortex遺伝子の第1イントロンへの挿入であったことを示す。組換えを起こした暗色型ハプロタイプの分布に基づく統計的推論は、この転位事象が1819年前後に起こったことを示しており、これは歴史的記録とも一致する。暗色型転位因子が、翅原基の初期発生の際に細胞周期の調節に重要な役割を果たすタンパク質を作り出すcortexの転写産物の量を増加させることが明らかになり、暗色型転位因子の作用様式解明への道が開かれた。これらの知見によって、小進化的な変化の象徴的な例について欠落していた情報のかなりの部分が埋まり、自然選択に対する適応応答機構について、より深い洞察が得られた。変異自体が挿入された転位因子であるという今回の発見により、表現型の大きな新規性の源としての「ジャンピング遺伝子」の重要性についてさらなる議論が促されるだろう。

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