Letter
大気化学:二次有機エアロゾルの大規模生成源としてのオイルサンド事業
Nature 534, 7605 doi: 10.1038/nature17646
世界中の重質油鉱床と瀝青鉱床の原油量は総計で9兆バレルに達し、世界各国の280を超える堆積盆地に分布しており、カナダには1.7兆バレルのオイルサンド鉱床が存在する。全球的なこうした資源の開発とオイルサンドからの石油生産の増大から、近傍の生態系における有毒物質の存在や酸性雨に対する環境への懸念が生じている。二次有機エアロゾルは大気の質と気候に影響を及ぼす大気中の粒子状物質の重要な成分であり、その形成に対するオイルサンド開拓の寄与は、まだほとんど分かっていない。今回我々は、カナダのオイルサンド上空における航空機測定、室内実験、ボックスモデル研究から得られたデータを用いて、オイルサンドの放出物によって生成される二次有機エアロゾルの量を定量的に評価した。採掘されたオイルサンド物質からの蒸発と揮発性の低い有機蒸気の大気酸化が、観測される二次有機エアロゾル質量の大半の直接的な原因であることが分かった。結果として生じる1日当たり45~84トンという生成速度によって、オイルサンドは、北米における人為起源の二次有機エアロゾルの最も大きな生成源の1つとなっている。重質油と瀝青は、今日の全球の石油生産の10%以上を占めており、この数値は増加し続けている。今回の知見は、世界中の多くの産地と精製地域において、より粘度の高い原油が、二次有機エアロゾルの大きな生成源となる可能性があり、全世界で現在進行中および計画中の瀝青と重質油の抽出プロジェクトが環境へ及ぼす影響を評価する際には、そうした生成を考慮すべきであることを示唆している。

