Letter

人類学:道徳感を課す神と超自然的な罰と人間社会の拡大

Nature 530, 7590 doi: 10.1038/nature16980

農耕が始まって以来、人間同士の協力および社会的複雑性の規模は劇的に拡大してきた。この事実は、向社会性に関する標準的な進化的説明と合致しない。というのも、人々が大規模な匿名集団の中で血縁関係のない他者とつかの間の関わりを持つ機会が増えるにつれて、血縁、相互関係、およびパートナー選択に基づく協力についてのよく研究されたメカニズムがゆらぐためである。この向社会性の急速な拡大の説明として、複数のメカニズムが提唱されている。今回我々は、1つの重要な仮説に注目した。すなわち、神を、知恵と罰する力が次第に増していく存在として、また、個人間の社会的規範を破る者に制裁を与え、見知らぬ相手であっても同宗信徒に対しては協力、信頼、および公平性の拡大を促進し維持させる者として、認知表現することである。我々は、大規模な民族誌的聞き取り調査、および偏りのない規則順守を測定するため設計された2種類の行動ゲームを用いて、その仮説を検証した。対象者は、(1)タンナ島内陸部(バヌアツ)、(2)タンナ島海岸地帯(バヌアツ)、(3)ヤサワ諸島(フィジー)、(4)Lovu(フィジー)、(5)Pesqueiro(ブラジル)、(6)Pointe aux Piments(モーリシャス)、(7)トゥヴァ共和国(ロシア・シベリア)、および(8)Hadzaland(タンザニア)という世界の8つの多様な共同体に属する人々である(n = 591、観察数 = 3万5400)。参加者は、キリスト教、ヒンドゥー教、仏教など世界のさまざまな宗教的伝統に加え、アニミズム(精霊崇拝)および祖先崇拝といった多様な地域的伝統を信仰していると報告した。各種の関連変数を固定すると、自分の道徳主義的な神の懲罰性および人間の思考と行動に関する知恵が高いと評価した参加者ほど、自分自身および地元の同宗信徒の両方と比較して、地理的に離れた見知らぬ同宗信徒により多くのコインを配分した。今回の結果は、道徳感を課し、懲罰的で知力に優れた神への信仰が遠隔地の同宗信徒に対する偏りのない行動を促進し、従ってこれが向社会性の拡大に関与している可能性があるという仮説を裏付けている。

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