健康科学:in situでの多重発汗分析のための完全一体型ウエアラブルセンサーアレイ
Nature 529, 7587 doi: 10.1038/nature16521
ウエアラブルセンサー技術は、個人の健康状態の継続的なモニタリングによる個別医療の実現に不可欠である。生理学的情報に富んだヒトの汗をサンプリングすることで、非侵襲的モニタリングが可能になるかもしれない。過去に報告された、汗を使うバイオセンサーなどの非侵襲的バイオセンサーは、一度に単一の被分析物しかモニタリングできないか、現場で信号処理を行う回路や生理学的状態を正確に分析するためのセンサー較正機構を備えていないかのいずれかであった。汗分泌の複雑さを考えると、標的バイオマーカーの同時多重スクリーニングは極めて重要であり、測定精度を確保するためにシステムの完全一体化が必要になる。今回我々は、発汗をin situで多重分析する機械的にフレキシブルな完全一体型の(つまり外部に取り出しての解析が不要な)センサーアレイについて報告する。このセンサーアレイは、センサーの応答を較正するための皮膚温の他、グルコースや乳酸塩などの汗中の代謝産物や、ナトリウムイオンやカリウムイオンなどの電解質を同時かつ選択的に測定する。我々の研究は、皮膚とのインターフェースとなるプラスチックベースのセンサーと、複雑な信号処理を行うためにフレキシブル回路基板上にまとめたシリコン集積回路を合体させることによって、ウエアラブルバイオセンサーにおける、信号変換、調節(増幅およびフィルタリング)、処理、ワイヤレス伝送の間の技術的ギャップを埋めるものである。これらの技術にはそれぞれ固有の欠点があるため、各技術を単独で用いたのでは、ウエアラブル発汗センサーへの応用は実現しなかった可能性がある。このウエアラブルシステムを用いて、室内外での長時間の身体活動に携わる被験者の汗の詳細な特性が測定され、被験者の生理学的状態がリアルタイムで評価された。今回のプラットフォームによって、個別診断や生理学的モニタリングへの幅広い応用が実現可能になる。

