がん:HPVが関わるp53分解に必要とされるE6/E6AP/p53複合体の構造
Nature 529, 7587 doi: 10.1038/nature16481
p53はアポトーシス促進性のがん抑制因子で、ほとんどのがんで変異しているか、機能が変化している。「高リスク」粘膜型ヒトパピローマウイルスによって誘導される上皮腫瘍には、ヒト子宮頸がんや発生数が増加している一部の頭頸部がんなどが含まれていて、これらの腫瘍ではp53がウイルスのがんタンパク質E6によって分解される。この過程で、E6は細胞のユビキチンリガーゼE6AP内のロイシン(L)が多数含まれる短いコンセンサス配列LxxLLに結合し、次いでこのE6/E6APヘテロ二量体にp53が結合して、分解される。E6もE6APも単独ではp53を取り込むことはできず、E6、E6AP、p53を集合させる方式の正確な詳細は知られていない。今回我々は、ヒトパピローマウイルス16型(HPV-16)の完全長E6、E6APのLxxLLモチーフおよびp53コアドメインから構成される三者複合体の結晶構造を解いた。E6APのLxxLLモチーフはE6表面にp53が結合するための溝を作り出して、E6をp53との結合が可能なコンホメーションにする。E6–p53の境界面の重要な位置で変異を誘導するとp53の分解が起こらなくなる。p53のE6結合部位は、p53コアドメインのこれまでに報告されていたDNA結合表面およびタンパク質結合表面からは離れている。このことから、大筋として、E6は遊離状態のp53分子と結合型p53分子の両方を標的とすることで細胞因子との競合を回避しているのではないかと考えられる。E6/E6AP/p53複合体は、ユビキチンを介するタンパク質分解経路とp53がん抑制因子経路の両方をウイルスが乗っ取る例の見本といえる。この構造は、ヒトパピローマウイルスが仲介する発がんを抑制する治療戦略を設計する際の枠組みとなるだろう。

