微生物学:バクテリオシン産生は哺乳類消化管での腸球菌のニッチ競争を増大する
Nature 526, 7575 doi: 10.1038/nature15524
腸球菌のEnterococcus faecalisは、ヒトの消化管でよく見られる常在菌であり、また院内感染の主要な原因でもある。多剤耐性腸球菌の全身感染は、消化管への定着後に起こる。従って、多剤耐性E. faecalisの消化管定着を防ぐことができれば、感染を限定する有益な手段となる可能性がある。しかし、E. faecalisがどのような機構によって定着し、安定した消化管ニッチを巡って競争するのかは、ほとんど解明されていない。フェロモン応答性で、バクテリオシンをコードしている接合性プラスミドは腸球菌株に広く見られ、腸球菌同士、あるいは腸球菌と腸内微生物相の間でのニッチ競争に影響している可能性がある。我々は、バクテリオシン21を発現する接合性プラスミドpPD1が腸球菌の定着に果たす役割を調べるために、マウス腸の微生物相を破壊することなしにE. faecalisが定着するモデルを開発した。本論文では、pPD1を持つE. faecalisが既存の腸球菌群に取って代わり、pPD1を持たないE. faecalisとの競争に勝つことを明らかにする。さらに、pPD1は腸内で接合によって他のE. faecalis株にも伝達され、その生存を促進する。接合不能なpPD1変異体を持つE. faecalis株を定着させると、プラスミドの伝達は起こらず、バンコマイシン耐性腸球菌が排除される結果となった。従って、常在菌によるバクテリオシン発現は、消化管内のニッチ競争に影響することがあり、適切な腸内細菌ニッチを占める常在菌が供給するバクテリオシンは、その腸に固有の微生物相を大きく破壊することなく、多剤耐性菌の腸への定着を特異的に排除する、有効な治療法になる可能性がある。

