構造生物学:500 kDaの酵母アセチルCoAカルボキシラーゼホロ酵素二量体の結晶構造
Nature 526, 7575 doi: 10.1038/nature15375
アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)は、脂肪酸の代謝で重要な役割を果たしており、糖尿病やがんなどの疾患に対する創薬の際の標的として関心を集めている。出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)のACC(ScACC)は、極長鎖脂肪酸の産生や核膜の維持に不可欠である。ACCは、ビオチンカルボキシラーゼ(BC)活性とカルボキシルトランスフェラーゼ(CT)活性を持ち、その構造中のビオチンはビオチンカルボキシルキャリヤータンパク質(BCCP)に共役結合している。真核生物ACCはほとんどが250キロダルトン(kDa)程度のマルチドメイン酵素で、ホモ二量体やさらに大型の多量体の形で機能している。こうしたACCは、他のタンパク質と相同性を持たない独自の80 kDa中央領域を含んでいる。BC、CTおよびBCCPドメインや、他のビオチン依存性カルボキシラーゼホロ酵素の構造は知られているが、ACCホロ酵素の構造情報は、現在のところ得られていない。今回我々は、ScACCの完全長500 kDaホロ酵素二量体の結晶構造を報告する。この構造は、他のビオチン依存性カルボキシラーゼのそれとは大幅に異なっている。中央領域は5つのドメインを含んでおり、触媒のためにBCドメインとCTドメインを配置するのに重要である。その構造から、BCドメインは予想外にも二量体を形成していて、二量体とBCドメイン単独の構造とを比較するとコンホメーションに大きな差異があることが明らかになった。このような構造変化から、BCドメイン単独では触媒的に不活性である理由が明らかになり、天然物ソラフェンAや、哺乳類ACCのBCドメインコアのすぐ手前にあるSer残基のリン酸化によって真核生物ACCが阻害される際の分子機構がはっきりする。BCとCTの活性部位は80 Å離れており、触媒反応の際にはBCCPドメイン全体が移動しなければならない。

