生態学:気候変動に対する生物種の応答を形作る新規の競争相手
Nature 525, 7570 doi: 10.1038/nature14952
気候変動に対して生物種がどのように応答するかを理解することは、有害生物、疾患および生物学的多様性の将来の動態や分布を予測するために不可欠である。生態学では以前から、気候に対する生物種の直接の生理学的および個体群動態的応答が知られているが、近年の研究では、こうした直接的な応答が、他の相互作用する群集構成員が介在する間接的な影響によって圧倒され得ることが示唆されている。理論的には、群集の変化の最も劇的な影響の一部はおそらく、気候に関連した非同期的な移動の末に、種の新たな組み合わせが出来上がることで生じるものと考えられている。この予測の実証試験はほとんどないが、それは従来の研究が、現在共存している競争者同士の相互作用が変化することによる影響にばかり注目してきたからである。気候温暖化に対する種の応答が、その競争相手の気候に追随した移動の仕方にどのように依存するのかを探るため、我々は高山植物種および植物群落全体をスイス・アルプス山脈で気候勾配に沿って移植した。その結果、移動がうまくできない場合を模倣するために高山植物をより温暖な気候の場所に移した場合、それらの植物の生育状態は、低地から上方に移動できた新しい競争相手によって強く抑制されることが分かった。こうした影響は概して、現在の競争相手との競争に温暖化が及ぼす影響を上回っていた。対照的に、気候への追随を模倣するため、着目した植物を現在の気候の下で生育させた場合には、競争相手が高地性の新規の競争者になるという競争環境の変化が、ほとんどもしくは全く影響を及ぼさなかった。生息域の前縁と後縁とで競争相手の性質変化の重要性がこのように非対称であることは、現在の競争相手と新しい競争相手との機能的類似性の程度によって最もよく説明される。結論として、気候変動に対する生物種の応答を正確に予測するには、新しい競争的相互作用を把握することが極めて重要だと考えられる。

