地球力学:地球で最も長い大陸ホットスポット軌跡に沿ってリソスフェアが支配するマグマ組成
Nature 525, 7570 doi: 10.1038/nature14903
ホットスポットは、テクトニック・プレート境界と明確な関連性がない、地表の火山活動が異常な地域である。ハワイ–天皇海山列やイエローストーン–スネークリバー平原地域は、その典型的な例である。その大半は、地球のテクトニック・プレートが、長寿命のマントル・プリューム(高温の物質を地球深部マントルから地表へ運ぶ浮力のある上昇流)の上を動くときに形成されたと考えられている。リソスフェアの厚さによって、プリュームが上昇する高さが制限され、その結果最小溶融圧力が限定されると長い間考えられてきた。従って、リソスフェアの厚さの影響は、プリュームに関連するマグマの地球化学的性質を支配していると思われるが、これまで明瞭な証拠は得られていなかった。本論文では、表層地質学、地球年代学、プレート運動の再構築、地球化学、地震学から得られた観測に基づく制約を統合して、3300万~900万年前の火山活動記録を示す、オーストラリア東部の長さ2000 kmの地球で最も長い大陸ホットスポット軌跡[我々は、コスグローブ軌跡(Cosgrove track)と名付けた]の下におけるプリュームの溶融深度を確定した。今回の解析によって、この軌跡に沿ってリソスフェアの厚さとマグマの組成に強い相関があり、(1)リソスフェアの厚さが110 km以下の地域では、標準的な玄武岩組成であり、(2)リソスフェアの厚さが150 kmを超える地域では、火山がなく、(3)リソスフェアの厚さが中間の地域では、火山活動は白榴石を含み体積が小さいことが明らかになった。この軌跡に沿って得られた試料の微量元素濃度は、こうした組成変動は、上部にあるリソスフェアの厚さによって支配されて部分溶融の程度が異なるために生じたという考えを裏付けている。今回の結果から、大陸下におけるマントルプリュームの溶融深度が観測に基づいて初めて絞り込まれ、リソスフェアの厚さがプリューム由来のマグマの体積と化学組成に支配的な影響を及ぼしていることを示す直接的な証拠が得られた。

