Letter
化学:ヘテロアレーンC–H官能基化におけるアルキル化剤としてのアルコール
Nature 525, 7567 doi: 10.1038/nature14885
酸化還元過程やラジカル中間体は、デオキシリボヌクレオチド合成や酸化的DNA損傷など、多くの生化学過程で見られる。DNA生合成の主要な仕組みの1つは、ラジカルを介するH2O脱離によるリボヌクレオチドの脱酸素化である。これは「スピン中心シフト」の一例であり、その際アルコールのC–O結合が開裂し、炭素中心ラジカル中間体が生成される。スピン中心シフトはよく理解された生化学過程であるが、合成有機化学ではあまり利用されていない。我々は、天然に存在するこの過程を活用し、ラジカル前駆体としてアルコールを用いて従来とは異なる温和なアルキル化反応を実現することは可能だろうかと考えた。従来のラジカルを用いたアルキル化法は、化学量論的酸化剤の使用、高温や過酸化物を必要とするため、豊富に存在する単純なアルキル化剤を用いた温和なプロトコルが開発されれば、さまざまな官能基を持つファーマコフォアの合成に多用されるようになるだろう。今回我々は、温和なアルキル化試薬としてアルコールを用いた、ヘテロアレーンの二重触媒アルキル化反応の開発について報告する。この方法は、我々の知る限り、活性化されていないアルコールを潜在的なアルキル化試薬として使用した初の広く応用可能な例であり、光酸化還元触媒反応と水素原子移動触媒反応の併用に成功したことによって実現された。我々は、複数の触媒を使うこのプロトコルの有用性を、ファスジルとミルリノンという薬剤を後期段階で官能基化することによって実証した。

