心疾患:DCHS1変異が僧帽弁逸脱を引き起こす
Nature 525, 7567 doi: 10.1038/nature14670
僧帽弁逸脱(MVP)は、およそ40人に1人が罹患する一般的な心臓弁疾患である。MVPは僧帽弁逆流として現われることがあり、僧帽弁手術の主要な適応症となっている。明らかな遺伝的要素があるにもかかわらず、非症候群性のMVPを引き起こす遺伝的病因は不明である。非症候群性MVPを遺伝的に分離する大きな多世代家系の4人の罹患患者で、第11染色体上の関連した領域でキャプチャーシークエンシングを行った。我々は、ショウジョウバエ(Drosophila)の細胞極性遺伝子dachsous(ds)のヒトホモログDCHS1遺伝子における、家族内でMVPと遺伝的に分離するミスセンス変異を報告する。ゼブラフィッシュホモログdachsous1bのモルフォリノによるノックダウンの結果、心臓房室管の欠損が生じ、これは野生型のヒトDCHS1メッセンジャーRNAで救済され得るが、家族性変異を有するDCHS1メッセンジャーRNAでは救済されなかった。さらなる遺伝学的解析により、別の有害なDCHS1変異がMVPと遺伝的に分離する2つの家系が新たに明らかになった。両方のDCHS1変異がタンパク質の安定性を減弱させることが、ゼブラフィッシュ、培養細胞、そして特に重要なことに、発端者から僧帽弁再建手術中に採取した僧帽弁間質細胞(MVIC)で示された。Dchs1+/−マウスでは肥厚した僧帽弁尖の逸脱が見られ、その起源は弁形態形成の発生エラーにさかのぼる可能性がある。MVP患者のMVICでのDCHS1欠損およびDchs1+/−マウスのMVICでは細胞遊走とパターン形成の異常が起こり、これらの過程がこの疾患の病因であることが支持される。僧帽弁発生とMVP病態発現におけるDCHS1の役割を理解することで、この非常に一般的な疾患に対する治療の手掛かりが得られる可能性がある。

