Letter
生態学:熱帯の新しい山における生物相の固有性の進化
Nature 524, 7565 doi: 10.1038/nature14949
熱帯の山地は生物多様性および固有性のホットスポットであるが、その独特な生物相の進化的起源はほとんど解明されていない。局所的絶滅や地域的絶滅、長距離の植民、局所的な加入はいずれも、熱帯山地の生物群集の特異な性質に多かれ少なかれ寄与していると考えられる。また、山地の固有種が主にその地域の低地分類群を起源とするのか、あるいは離れた寒冷地からの長距離分散によってその山地に到来した系統を起源とするのかについても議論が交わされている。今回我々は、熱帯山地の1つである標高4095 mのキナバル山(マレーシア東部サバ州)について生物相全体の標本採取を行い、固有性に至った進化的経路を調べた。その結果、キナバル山に固有な生物多様性の大部分は山自体の年齢(600万年)と比べて新しく、前適応した移入系統と近隣低地の祖先種に由来する子孫系統との混成状態になっていることが分かった。ただし後者の低地由来群では、低地植生帯から高地植生帯への大幅な移行はまれだった。これらの手掛かりから、気候変動シナリオに基づく山地生物多様性ホットスポットでの絶滅および「進化的救済」の可能性の予測を改善できると考えられる。

