Letter
量子物理学:熱デコヒーレンス速度での測定に基づく機械振動子の制御
Nature 524, 7565 doi: 10.1038/nature14672
リアルタイム量子フィードバックプロトコルでは、連続測定の記録を使って所望の量子状態を安定化する。最近、マイクロ波光子や超伝導キュービットなどさまざまな十分に孤立した微小系において、こうしたプロトコルの応用に成功している。しかし、機械振動子などの明らかに質量の大きな物体の量子状態の安定化はまだ非常に困難である。その主要な障害は環境デコヒーレンスであり、状態測定に必須の時間スケールに厳しい条件が課せられる。本論文では、4.3 MHzの固体ナノ機械振動子の零点運動を、その熱デコヒーレンスの時間スケールで分解できる位置センサーについて報告する。これは、基底状態の生成などリアルタイム(マルコフ型)量子フィードバック制御の基本的な必要条件である。このセンサーは、高Q微小共振器へのエバネッセントオプトメカニカル結合に基づいており、弱い連続的な位置測定の標準的な量子限界より4桁小さい不正確性、つまりこれまでの報告を100倍改善した結果を、不正確性と反動の積をハイゼンベルクの不確定性極限の5倍以内に保ちながら実現する。その実用性の実証として、振動子をフィードバック冷却する際のエラー信号としてこの測定結果を使った。アクチュエーターとして放射圧を使って、低温浴温度の4.4 Kから、平均フォノン数5.3 ± 0.6個(すなわち、基底状態の確率が16%)に相当する有効値1.1 ± 0.1 mKまで、この振動子を高い効率で冷却減衰した。今回の結果は、線形位置センサーの性能の新しい基準を定めており、機械振動子が、測定に基づく量子制御を行う実際的な対象になったことを示すものである。

