光学・フォトニクス:固体の極端紫外高調波分光法
Nature 521, 7553 doi: 10.1038/nature14456
レーザー駆動によって原子、分子、プラズマから発生する極端紫外(EUV)高調波放射は、強力なアト秒分光法の基礎となるものであり、物質の基本的な構造特性や動的特性に関する知見をもたらす。この分光法を発展させて凝縮物質の高強度場電子ダイナミクスを研究するには、バルク固体におけるEUV放射の生成と操作が必要となるが、光科学の力では実現できていない。しかし、最近の実験と理論予測によって、バルク半導体における深紫外放射の生成と光学的制御が実証され、固体の高強度場物理学への道が開かれた。深紫外放射の生成と制御は、フェムト秒中赤外場で駆動したり、中赤外周波数および光周波数のマルチオクターブスペクトルへテラヘルツ場をコヒーレントアップコンバージョンしたりして行われた。今回我々は、数サイクルからサブサイクルの高強度パルスを照射したSiO2薄膜が、約40 eVのエネルギーに達する広帯域コヒーレントEUV放射を生じさせることを実証する。今回の研究では、放出されたEUV放射が、SiO2の最低伝導帯に誘起されたマルチペタヘルツ周波数のバンド内電流と関連していることが示された。また、我々は、高調波分光法の固体への応用可能性を実証するために、EUVスペクトルを利用して、ワイドバンドギャップ誘電体の光電子分光ではまだ得ることができない、極めて詳細な伝導帯エネルギー分散プロファイルを得た。さらに我々は、EUVスペクトルを用いて、合成された光学過渡現象によって生じるバンド内電子運動のアト秒制御過程を追跡した。今回の研究は、凝縮物質における光波エレクトロニクスをマルチペタヘルツ周波数とそのアト秒制御の領域へ前進させ、固体EUVフォトニクスの到来を告げるものである。

