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遺伝学:マウスでの包括的な遺伝的解析により明らかになった、先天性心疾患に繊毛が果たす中心的役割

Nature 521, 7553 doi: 10.1038/nature14269

先天性心疾患(CHD)は最も広く見られる先天性欠損症で、生産児の1%近くに認められ、ヒト胎児でのCHDの発生率はその10倍にまで達する。CHDと染色体異常との関連や、再現危険率が高いことから、遺伝的要因の寄与が強く示唆されている。本論文では、マウス胎仔で行った劣性変異の順遺伝学的スクリーニングで得られた知見を報告し、繊毛と、繊毛によって変換される細胞シグナル伝達とが、CHDの発症機序に重要な役割を果たしていることを明らかにする。繊毛は進化の過程で保存されてきた細胞小器官で、細胞表面から突出していて、さまざまな細胞過程で重要な役割を担っている。今回我々は心エコー法を使い、化学物質により変異を誘発した8万7355匹のC57BL/6Jマウス胎仔の超音波スキャンを行って、218個のCHDマウスモデルを得た。全エキソームの塩基配列解読により、61個の遺伝子中に91個の劣性CHD変異が見つかった。この中には、繊毛に関連する遺伝子が34個、繊毛によって変換される細胞シグナル伝達に関連する遺伝子が16個、繊毛形成や細胞シグナル伝達の重要な経路である小胞輸送の調節に関わる遺伝子が10個含まれていた。意外にも、多数のCHD遺伝子が相互作用タンパク質をコードしていた。このことは、インタラクトームタンパク質ネットワークがCHDの病理発生のさらに大きなゲノム的背景となっている可能性を示唆している。これらの知見は、ヒト集団中の十分詳しく研究されていない部分となっている胎児集団でCHDにメンデル型の遺伝が関わっている可能性についての新たな手掛かりを与えるものである。今回明らかにされた経路は、CHD患者で見つかっているCHD候補遺伝子と重複していることから、これらがCHD全体のもっと複雑な遺伝学的性質に関連している可能性が考えられる。これらのCHDマウスモデルと8000を超える偶発的変異は精子からなるアーカイブとして保存されており、ヒトの疾患モデル作成の貴重な公開資源となる。

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