がん:MAD2L2は5′末端切除を阻害することでテロメアでのDNA修復とDNA切断を制御する
Nature 521, 7553 doi: 10.1038/nature14216
DNA損傷の適切な修復やテロメアでのDNA修復活性の阻害は、ゲノム不安定性を防止するために重要である。ゲノム不安定性は、遺伝的変化を生じやすくしたり、細胞の生存能力を低下させたりすることで、がんや老化の駆動力になっている。今回我々は、遺伝的な機能スクリーニングにより、MAD2L2(別名MAD2BあるいはREV7)が哺乳類テロメアでのDNA修復活性を制御する新規因子であることを明らかにする。MAD2L2はキャップ構造を持たないテロメアに集積して、脱保護された染色体末端の非相同末端結合(NHEJ)による融合やゲノム不安定性を促進することが分かった。MAD2L2を枯渇させると、3′テロメアオーバーハングの伸長が引き起こされるため、MAD2L2は5′末端切除を阻害することが示された。末端切除は相同組換え修復を行う一方で、NHEJを阻止しており、53BP1、RIF1およびPTIPによって制御されている。MAD2L2が5′末端切除の阻害によりNHEJによるテロメア融合を促進することと一致して、ヌクレアーゼであるCTIPあるいはEXO1をノックダウンすると、MAD2L2枯渇細胞でテロメアが誘発するゲノム不安定性が部分的に回復する。MAD2L2によるDNA修復の制御はテロメアに限定されてはいない。MAD2L2は、放射線照射誘発性のDNA二本鎖切断部位にも集積してその末端切除を阻害し、免疫グロブリンクラススイッチ組換えの際などのさまざまな状況でDNA二本鎖切断の末端結合を促進する。MAD2L2のこのような活性はATMキナーゼ活性、RNF8、RNF168、53BP1およびRIF1に依存するが、PTIP、REV1およびREV3には依存しない。REV1およびREV3は、損傷乗り越え合成においてMAD2L2と共に作用する。以上より、MAD2L2が、RIF1の下流の5′末端切除を阻害することで、NHEJを促進する53BP1によるDNA修復活性の制御に重要な役割を果たしていることが明らかになった。

