分子生物学:Xist lncRNAはSHARPと直接相互作用することでHDAC3を介して転写サイレンシングを行う
Nature 521, 7551 doi: 10.1038/nature14443
多くの長鎖非コードRNA(lncRNA)は遺伝子発現に影響を与えるが、それらが作用する機構はこれまでほとんど解明されていない。最もよく調べられているlncRNAの1つはXistで、哺乳類の雌の発生過程での1本のX染色体の転写サイレンシングに必要である。Xistが仲介する転写サイレンシングの機構を明らかにするために広範な取り組みがなされているが、この役割に必要なタンパク質はいまだに全く分かっていない。主な問題は、現在、細胞でlncRNAと直接相互作用するタンパク質を包括的に決定する方法がないことである。今回我々は、細胞からlncRNAを精製する方法を開発し、定量的質量分析を用いてlncRNAと直接相互作用するタンパク質を明らかにした。Xistと特異的に会合する10個のタンパク質が見つかり、それらのうちの3個(SHARP、SAF-AおよびLBR)はXistが仲介する転写サイレンシングに必要であることが分かった。HDAC3を活性化するSMRTコリプレッサーと相互作用するSHARPは、サイレンシングに不可欠であるだけでなく、不活化X染色体からRNAポリメラーゼII(Pol II)を除去するのにも必要であった。また、SMRTとHDAC3の両方がサイレンシングとPol II除去に必要であった。SHARPおよびHDAC3は、転写のサイレンシングに加えて、X染色体全体にXistを介してPRC2(polycomb repressive complex 2)を誘導するのに必要であった。以上より、Xistによる転写のサイレンシングは、SHARPとの直接相互作用、SMRTの誘導、HDAC3の活性化、そしてヒストンの脱アセチル化によるX染色体全体からのPol IIの除去により行われていると考えられる。

