Letter

生物地球化学:浸食に支配される陸上生物圏からの全球炭素移出

Nature 521, 7551 doi: 10.1038/nature14400

懸濁態有機炭素(POC)の河川による海洋への移出は、広い範囲の時間スケールにわたって大気中の炭素蓄積量に影響を及ぼす。地質学的時間スケールでは、陸上生物圏からのPOC隔離と岩石に由来する有機炭素の酸化の釣り合いによって、大気中の炭素貯蔵庫と酸素貯蔵庫の大きさが決まる。より短い時間スケールでは、土壌や海洋堆積物などの炭素貯蔵庫間の交換速度の変化によっても大気中の二酸化炭素濃度が調節される。しかし、生物圏由来の有機炭素と岩石由来の有機炭素のそれぞれのフラックスはあまり絞り込まれておらず、POC輸送を支配する機構はよく分かっていないので、POCフラックスを気候変動やテクトニクスの変化の結果として定量的に十分予測できない。本論文では、集水特性の自然変動を代表する一連の河川系に対して生物圏由来のPOCと岩石由来のPOCのフラックスを見積もった。生物圏由来のPOCと岩石起源のPOC両方の移出量は、浮遊堆積物の生成量と明らかに関連があり、POCの移出は主に物理浸食に支配されていることが明らかになった。浮遊堆積物フラックスの測定結果を全球で集計した結果を用いて、全球の生物圏由来のPOCのフラックスは炭素換算で年当たり157+74−50メガトン、岩石由来のPOCのフラックスは年当たり43+61−50メガトンと見積もられた。生物圏由来のPOCの移出は、POCを集め輸送する河川の容量に主に支配され、陸上の一次生産の大きさにはほとんど影響を受けないことが分かった。全球では、ケイ酸塩の風化による炭素隔離よりも、物理浸食の速度が生物圏由来のPOCの海洋堆積物への埋没速度に強い影響を及ぼしている。物理的浸食が強まった状況では、生物圏由来のPOCの海洋堆積物への埋没が、大気中二酸化炭素の支配的な長期的シンクとなると考えられる。

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