植物科学:病原体が分泌するプロテアーゼによって活性化される、植物の新規免疫経路
Nature 521, 7551 doi: 10.1038/nature14243
マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)カスケードは、植物や動物の自然免疫シグナル伝達ネットワークで中心的な役割を果たしている。しかし植物では、シグナルの受容がMAPKの活性化に変換される分子機構は明らかになっていない。今回我々は、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)では病原体が分泌するプロテアーゼがこれまで知られていなかったシグナル伝達経路を活性化し、これにはMAPKカスケードの上流で機能するヘテロ三量体Gタンパク質複合体のGα、GβおよびGγサブユニットが関わっていることを報告する。この経路では、RACK1(receptor for activated C kinase 1)が、Gβに対して結合する新規の足場タンパク質として機能するだけでなく、MAPキナーゼカスケードで順次働く3種類のキナーゼの全てと結合し、それによって上流のGタンパク質シグナル伝達とその下流のMAPKカスケードの活性化を連結している。細菌のフラジェリンによって誘発されるような、すでに知られている植物の免疫シグナル伝達経路では、Gタンパク質がMAPKカスケードの下流もしくはMAPKカスケードと並行して機能し、RACK1足場タンパク質は関与しない。今回の研究で明らかにされた、プロテアーゼ–Gタンパク質–RACK1–MAPKカスケードというモジュールは、これらとは別のものである。今回の、プロテアーゼを介する新しい免疫シグナル伝達経路の発見は、広範な宿主域を持つ日和見病原体の緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)を用いたことが助けとなった。緑膿菌は植物と動物の両方に感染できるので、これは多様な宿主組織と免疫応答に対するニッチ適応を説明する新規な免疫調節戦略を突き止める際の優れたモデルとなると考えられる。

