Letter
地球:全球H2生成への先カンブリア代大陸リソスフェアの寄与
Nature 516, 7531 doi: 10.1038/nature14017
微生物生態系は、地球の地下と深海の噴出口における水と岩石の相互作用で生成される水素ガス(H2)によって維持されている。水と岩石の相互作用(水和)による海洋リソスフェアからの全球H2生成の現在の見積もりは、1011モル/年程度である。最近行われた先カンブリア代の大陸地下における塩分を含む破砕水の探査によって、熱水噴出口や海底拡大中心と同程度にH2に富む環境が発見されており、溶存H2と放射線分解による水の解離の関連性が示唆されている。しかし、南アフリカのウィットウォータースランド盆地の深部金鉱床における地域的なH2流量を外挿すると、全球H2生成への先カンブリア代リソスフェアの寄与は無視できると考えられる量(0.009×1011モル/年)にしかならない。本論文では、先カンブリア代の岩石から得られたH2濃度の既報データと新しいデータを収集し、先カンブリア代の大陸リソスフェアのH2生成能力は過小評価されていたことを示す。これは、蛇紋岩化などのH2生成反応による増加分を考慮していなかったことと、こうした環境からのH2測定値を、先カンブリア代の地殻が全球の大陸地殻の表面積の70%以上もあったという事実を考慮に入れて適切に評価していなかったことで説明できると考えられる。放射線分解と水和反応の両方によるH2生成を考慮すれば、先カンブリア代大陸リソスフェアによるH2生成速度の見積もりは0.36~2.27×1011モル/年となり、海洋系からの見積もりに匹敵する。

