Letter
材料科学:電場を使った室温における強磁性の決定論的なスイッチング
Nature 516, 7531 doi: 10.1038/nature14004
マルチフェロイック材料の技術的な魅力は、電場によって磁性を制御する能力である。デバイスを実用的なものにするには、室温でそのような制御を実現しなければならない。BiFeO3は、室温で明瞭な磁気電気結合を示す唯一の単相マルチフェロイック材料である。その弱強磁性は、ジャロシンスキー–守谷(DM)相互作用によって反強磁性的に整列したスピンが傾いて生じる。これまでの理論では、その熱力学的基底状態の対称性を考えて、強誘電分極によるDMベクトルの直接的180°スイッチングは禁止されると結論されている。代わりに我々は、これまでの理論研究では考察されていなかったスイッチング過程の動力学を調べた。本論文では、室温で電場を使った、DMベクトルと傾斜した磁気モーメントの決定論的な反転を示す。第一原理計算によって、このスイッチング動力学では、2段階のスイッチング過程が有利であることが明らかになった。各段階においてDMベクトルと分極が結合するため、磁化の決定論的な180°スイッチングが可能となり、実験観察と一致する。我々は、このスイッチングを利用して、室温でのエネルギー効率の良いスピンバルブデバイスの制御を実証している。必要な単位面積当たりのエネルギーは、スピン移動トルクスイッチングで必要なエネルギーよりも約1桁低い。DM相互作用は単相のマルチフェロイック材料と磁気電気材料に不可欠であることを考えると、今回の結果から、磁気電気スイッチングを操作して、ナノメートルスケール、低エネルギー消費、不揮発性の磁気エレクトロニクスに合うように技術的に関連する機能性を調整する方法が示唆される。

