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幹細胞:多能性幹細胞由来の胃オルガノイドにおけるヒトの発生および疾患のモデル
Nature 516, 7531 doi: 10.1038/nature13863
世界人口の10%は消化性潰瘍疾患や胃がんなどの胃疾患に罹患しており、その原因の多くはピロリ菌(Helicobacter pylori)の慢性的な感染である。胚発生と成体の胃の構造が種間で異なるため、ヒトの胃の器官形成や病因の研究では動物モデルは最適とは言えず、また、正常なヒトの胃粘膜の実験モデルはない。本研究では、in vitroでヒト多能性幹細胞の分化を誘導して、ヒトの胃組織を三次元的にde novoで作製したことを報告する。FGF、WNT、BMP、レチノイン酸、EGFシグナル伝達経路を時間的に操作し、三次元的に増殖させるだけで、ヒト胃オルガノイド(hGO)を作製できた。hGOの発生は、マウスの胃腔の発生とほぼ同一の分子的および形態的段階を経て進行した。オルガノイドは初期の胃腺や胃小窩様の領域、LGR5発現細胞を含む増殖区域、表面および胃腔粘液細胞、多様な胃内分泌細胞を形成した。我々はhGO培養を用い、転写因子NEUROG3の上流で、初期の内胚葉パターン形成と胃の内分泌細胞分化を調節する、新規のシグナル伝達機構を明らかにした。我々はhGOを用いてヒト疾患の発病モデルを作製し、ピロリ菌の感染によって病原因子CagAがその受容体であるc-Metと速やかに結合してシグナル伝達を活性化させ、上皮の増殖を誘導することを見いだした。まとめると、本研究では、ヒトの胃の発生と疾患の基礎となる機構を解明するための、新しくロバストなin vitroの系について説明している。

