Letter

幹細胞:霊長類特異的な内在性レトロウイルスが駆動する転写がナイーブ様幹細胞の特徴を定める

Nature 516, 7531 doi: 10.1038/nature13804

ナイーブ型胚性幹細胞は、広範かつロバストな発生能を持つため、研究や治療にとって非常に有用性が高い。このような細胞は、マウスでは胚盤胞から容易に誘導できるものの、ヒトではこれまでのところ単離できておらず、ヒトのプライム型胚性幹細胞から、培養条件の変更やトランスジェニックな改変といった強制的操作を加えることにより、抽出されるというよりはむしろ人工的に作製される。本論文では、ヒトの胚性幹細胞(hESC)および誘導多能性幹細胞(hiPSC)の培養細胞の一部集団が、ナイーブ状態の細胞の重要な特性を示すことを報告する。このようなナイーブ様細胞は、遺伝的に標識付けが可能で、霊長類特異的な内在性レトロウイルスHERVHの転写上昇と関連している。複数のHERVHエレメントが、最近マウスのナイーブ性に関係することが示されたLBP9などのナイーブ型多能性転写因子群の機能的な結合部位となる。LBP9–HERVHは、多能性を調節する長鎖非コードRNAなど、hESC特異的な選択的キメラ転写産物を駆動する。LBP9、HERVHおよびHERVHが駆動する転写産物の破壊は自己複製を阻害する。これらの結果は、HERVH発現がナイーブ様hESCの特徴であることを明らかにするもので、多能性を調節する霊長類特異的な新しい転写回路の存在を立証している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度