Letter
細胞:Rループは哺乳類遺伝子のターミネーター領域に抑制性のクロマチン標識を誘導する
Nature 516, 7531 doi: 10.1038/nature13787
Rループの形成は、転写過程の結果として自然に生じる現象で、新生転写産物がDNA二本鎖に入り込むことが原因である。このような構造は、転写でまれに生じる副産物と見なさていて、引き離されたDNAコード鎖が脆弱になることから、ゲノムの完全性に対して有害となるだろうと考えられてきた。しかし、ヒト遺伝子のCpGアイランドを含むプロモーター領域でRループが広範に形成されることが分かってきて、Rループには有益な作用もある可能性が出てきた。さらに、我々はこれまでに、Gの多いターミネーターエレメントにRループが特に多く見られることを明らかにしている。これらはRNAポリメラーゼII(Pol II)の停止を促し、その後に効率良く転写終結が起こる。今回我々は、哺乳類のタンパク質をコードする遺伝子のPol II停止部位(終結領域)で起こるRNA干渉に依存したH3K9me2形成とRループの間に、予想外の結び付きがあることを示す。このような停止エレメントの所で、Rループはアンチセンス鎖の転写を誘導し、これが二本鎖RNAの形成につながり、DICER、AGO1、AGO2およびG9aヒストンリシンメチルトランスフェラーゼが動員される。その結果、抑制性標識H3K9me2が形成され、ヘテロクロマチンタンパク質1γ(HP1γ)がここに動員されて、これが効率良い転写終結に先立ってPol IIを停止させる。つまり、Rループは、かなり多数の哺乳類遺伝子群について、転写終結領域を示すクロマチン構造形成を促進していると考えられる。

