惑星科学:H2D+の観測から与えられた太陽類似星を形成する星雲コアの年齢は少なくとも100万年である
Nature 516, 7530 doi: 10.1038/nature13924
星や惑星を形成する高密度な星間雲コアの年齢は、星形成において極めて重要なパラメーターであり、測定が難しい。コアの短時間崩壊を予想しているモデルがある一方で、100万年以上の時間スケールの崩壊を予想しているモデルもある。年齢を決める有力な方法の1つは、雲収縮に伴う化学変化によるものであり、特に年齢とともに単調減少していく水素分子(H2)の2つのスピン異性体の比(オルト/パラ比)を間接的に測定する方法である。これは高密度星雲コアL183に対して行われており、ジアゼニリウム(N2H+)の重水素分別が化学時計として使われ、70万年よりも短い時間スケールで急速にコアが収縮したと推定されている。天文学的に観測可能な分子群の中で、重水素で置換されたプロトン化水素分子のスピン異性体、ortho-H2D+とpara-H2D+は、化学的にH2と最も直接的なつながりがあり、それらの存在比は、より大きな星雲コアの年齢に敏感な化学時計を与える。para-H2D+の観測が非常に難しいため、今までこの比は決定されていなかった。しかし、研究室内での遷移振動数の正確な測定や計装技術の最近の発展のおかげで、近年になってやっと基底状態の回転線の検出が観測できるようになった。本論文では、年齢が10万年未満の誕生したての太陽型星の仲間であるIRAS 16293-2422 A/Bを含む高密度星雲コアからのortho- H2D+の輝線とpara-H2D+の吸収線それぞれの観測について報告する。化学モデルと共にこのオルト/パラ比を使うと、高密度コアは少なくとも100万年程度、化学的に経過していることが分かった。N2H+を使った過去の研究との見かけ上の違いは、この化学時計がH2D+時計よりも早く止まるために生じるが、両方の結果は、星形成する高密度コアは、10万年ではなく100万年程度の年齢を有していることを示唆している。

