宇宙物理学:スターバースト銀河における広がった分子ガスのアウトフローの起源である、星からのフィードバック
Nature 516, 7529 doi: 10.1038/nature14012
最近の観測から、スターバースト銀河が星の輻射圧を通して分子ガスのアウトフローを駆動する可能性が示されている。分子ガスは、そこから星が形成される星間物質の段階であるので、こうしたアウトフローは銀河における星の質量成長を抑える。しかし、これまで知られているアウトフローは、含まれる分子ガスの量が全体のごく一部であり、その典型的なスケールは1キロパーセク未満である。少なくともいくつかの場合では、活動銀河核からの流入は動力学的に重要であるため、星からの純粋なフィードバック(運動量が星間物質に戻ること)は、銀河規模での星形成を迅速に終了させることはできないと考えられている。分子ガスは、典型的なスターバースト銀河 M82の銀河面の外側で発見されている。しかしこれまで、銀河を取り巻く物質内の金属イオンの吸収体によって調べられている温まったガスと同程度の銀河中心半径(約1キロパーセク)まで、スターバーストが低温の分子ガスを相当量押し出すことができるという証拠は存在しない。本論文では、赤方偏移0.7に位置し、イオン化されたガスの高速なアウトフローを駆動することが知られている、コンパクトな(有効半径100パーセク)大質量スターバースト銀河における分子ガスの観測について報告する。我々は、分子ガス全体の35%が約10キロパーセクに広がり、この広がったガスの3分の1が最高で毎秒1000 kmの速度を持つことを見いだした。この高速度成分に伴う運動エネルギーは、星の輻射圧から得られる運動量フラックスに矛盾しない。このことから、星形成の中心核バーストが銀河の中心領域から大量の低温ガスを放出することができ、その結果、星形成の中断と物質の再分配によって銀河の進化に強い影響を及ぼすことが示される。

