Letter
行動経済学:銀行業界の企業風土と不正行為
Nature 516, 7529 doi: 10.1038/nature13977
他者の誠実さに対する信頼は、企業、産業、さらには国全体の長期的な実績における重要な要素である。しかし、近年の金融業界では、詐欺に関係する多数のスキャンダルが信用をむしばんできた。現代の解説者たちは、そうしたスキャンダルを金融部門の企業風土によるものとしているが、その主張を裏付ける科学的証拠は存在しない。今回我々は、大手国際銀行の従業員が、対照条件では、概して誠実に行動することを明らかにした。しかし自らの職業的アイデンティティーを際立たせるような条件にすると、かなりの割合の銀行員が不誠実になる。他の産業の従業員および学生を対象とした対照実験では、彼らの職業的アイデンティティーまたは銀行関連の特徴を際立たせても、銀行員ほど不誠実にならないことが示されたため、その影響は銀行員に特有のものであることが分かる。従って今回の結果は、銀行業界で主流となっている企業風土が誠実さの規範を弱体化および毀損していることを示唆しており、誠実な風土を回復させる対策が極めて重要であることを意味している。

