がん:MPDL3280A(抗PD-L1抗体)治療は転移性膀胱がんに対する臨床活性につながる
Nature 515, 7528 doi: 10.1038/nature13904
過去30年間、転移性尿路上皮膀胱がん(UBC)の治療には大きな進歩がなかった。今もなお、化学療法が標準的な治療である。患者の転帰は、特に化学療法が有効でない、あるいは忍容性が低い場合に不良である。UBCの特徴の1つに体細胞変異率が高いことがある。こうした変化により、抗原の数が増加するため、腫瘍細胞を異物と認識する宿主免疫系の能力が高まる可能性がある。しかし、これらのがんは、腫瘍微小環境にPD-L1(programmed death-ligand 1;別名CD274またはB7-H1)を発現させることで、免疫系による監視や根絶を回避する可能性もある。従って我々は、全身性のがん免疫療法薬である抗PD-L1抗体MPDL3280Aの転移性UBCに対する治療効果を検討した。MPDL3280Aは、高親和性改変ヒト抗PD-L1モノクローナル免疫グロブリンG1抗体であり、PD-L1と、PD-1(PDCD1)およびB7.1(CD80)との相互作用を阻害する。PD-L1は活性化T細胞に発現しているため、MPDL3280AにはFcドメインを修飾する改変を加えて、臨床的意義のある投与量での抗体依存性細胞傷害を除去し、PD-L1を発現するT細胞の枯渇を防止している。本論文では、MPDL3280Aの転移性UBCに対する注目すべき効果を示す。反応は迅速に現れる場合が多く、その多くが最初の反応評価時点(6週間)で見られ、ほぼ全ての症例でデータカットオフ日まで継続した。この第1相拡張臨床試験は、バイオマーカー陽性の被験者を多く含むコホートを許容する適応的デザインになっており、PD-L1陽性の腫瘍浸潤免疫細胞が見られる腫瘍が、特に高い反応率を示すことを実証した。さらに、MPDL3280Aは腎毒性がないなど毒性プロファイルが良好であるため、高齢で腎障害が見られることの多いUBC患者では、化学療法よりもMPDL3280Aに対する忍容性が高いと考えられる。これらの結果は、MPDL3280AがUBC治療に重要な役割を果たす可能性があることを示唆している。MPDL3280A は、2014年6月に米国食品医薬品局(FDA)から画期的治療薬の指定を受けている。

