ナノ材料:エピタキシャル酸化物の分域壁における人工的な化学的・磁気的構造
Nature 515, 7527 doi: 10.1038/nature13918
ナノテクノロジーが進歩すると、最小スケールまで材料の機能性を制御することを可能にする、材料合成の新たな研究法が必要となる。材料研究の目標は、強磁性体、強誘電体、超伝導体などの材料の物理特性のさらに高度な制御を実現することである。この意味で、複合酸化物や無機ペロブスカイトは、それらの原子構造をわずかに調整するだけで、大きな物理応答が生じ、多数の機能性が得られるため、魅力的である。加えて、これらの材料は強弾性分域を含むことが多い。この分域壁で起こる固有の対称性の破れから、磁気秩序や強誘電秩序などの機能性とそれらの間の結合のような、分域自体には存在しない特性が生じることがある。さらに、高い分域壁密度から強いひずみ勾配が生じ、これも材料の特性に影響を及ぼす。本論文では、大きな局所応力が原因となって、通常とは異なる相の形成が分域壁によって促進され得ることを示す。この意味で、分域壁はナノスケールの化学反応器として機能できる。我々は、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)基板上にエピタキシャルひずみの下で薄層に成長させた、斜方晶ペロブスカイト型の亜マンガン酸テルビウム(TbMnO3)の分域壁に二次元強磁性相を合成した。この相は、標準的な化学経路ではまだ生成されていない。この二次元シートの密度は、膜厚や基板の格子定数(すなわち、エピタキシャルひずみ)を変化させれば調整でき、そして超薄膜でのシート間の距離は5 nmまで小さくできる。これは、分域壁における新しい相が薄膜体積の最大25%に相当する。エピタキシャル酸化物の分域壁を使って通常とは異なる相の形成を促進するこの一般的な概念は、他の材料系へも適用できる可能性があるため、ナノエレクトロニクスやスピントロニクスに応用できる新しい種類のナノスケール材料につながるであろう。

