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動物行動学:チンパンジー属(Pan)に見られる致命的攻撃は人為的影響よりも適応戦略で説明がつく

Nature 513, 7518 doi: 10.1038/nature13727

チンパンジー(Pan troglodytes)およびボノボ(Pan paniscus)の観察から、同種殺しの意味を理解する上で重要な比較データが得られ、現在は2つの仮説が提唱されている。1つは、致命的な暴力を適応戦略の結果と考え、それによって加害個体は食物や配偶相手などの資源の利用可能性を増すことで究極的な適応的利益を得ているという説で、もう1つは、致命的な暴力が、生息地の変化や餌付けのような人為的影響による非適応的な結果だと考える説である。両仮説の検証を行うため、我々は、50年間にわたって研究されたチンパンジー18集団およびボノボ4集団から得られた情報をまとめた。チンパンジーでは15集団で152件の殺し(観察例58件、推定例41件、疑い例53件)が認められた一方、ボノボでは疑い例が1件であった。多くの例では雄が加害個体(参加個体の92%)および被害個体(73%)であり、集団間の攻撃に関わる殺しが多く(66%)、加害個体数が被害個体数を大きく上回っている(中央値で8対1)ことが分かった。殺しの発生率の変異は人為的影響の指標とは無関係であった。今回の結果は、チンパンジーの殺しについてこれまでに提唱されてきた適応論的説明に当てはまる一方、人為的影響によるとする仮説の裏付けにはならなかった。

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