医学:アカゲザルでのI型インターフェロン応答はSIV感染を防ぎ病気の進行を遅らせる
Nature 511, 7511 doi: 10.1038/nature13554
HIV感染における炎症は、エイズ以外の原因による病的状態と死亡、ウイルスセットポイント(無症候期のウイルス血漿レベル)の上昇、ウイルス感染の前兆であるため、炎症の原因と結果の両方を低減するための治療薬が開発されつつある。しかし、炎症は有害な影響と有益な効果の両方を同時に及ぼす可能性がある。この矛盾した状況は、I型インターフェロン(IFN-I)の場合に特によく当てはまる。IFN-Iは感染の自然制御に関与する一方で、急性感染の際にはウイルスに標的細胞を提供し、CD4 T細胞数の回復を妨げ、病気の進行にも関わっている。今回我々は、アカゲザル(Macaca mulatta)でのサル免疫不全ウイルス(SIV)の伝播と急性感染の際に、2つの相補的なin vivo介入を行ってIFN-Iシグナル伝達を操作した。IFN-I受容体の阻害は、抗ウイルス遺伝子発現の低下、SIVリザーバーのサイズ拡大とCD4 T細胞消失の加速を引き起こし、T細胞活性化の低下にもかかわらずエイズへの進行が引き起こされることが分かった。対照的に、IFN-α2a投与は当初は抗ウイルス遺伝子の発現を増加させ、全身感染を防止した。しかしIFN-α2aを持続的に投与すると、IFN-Iに対する脱感作が誘導され、抗ウイルス遺伝子の発現が低下して、SIVリザーバーサイズの拡大とCD4 T細胞消失の加速を伴う感染が起こった。従って、急性SIV感染でIFNが誘導する自然応答が生じるタイミングは、疾患進行過程全体に大きな影響を及ぼし、免疫活性化が増強された結果生じる有害な影響より重要である。だが、IFNシグナル伝達操作が臨床的にどういう結果となるかのin vivoでの予測は難しく、ヒトでの研究における治療的介入は慎重な取り扱いが必要であろう。

