がん:紫外線照射はTP53を標的とすることでBRAF誘導性の黒色腫発生を促進する
Nature 511, 7510 doi: 10.1038/nature13298
皮膚黒色腫は疫学的に紫外線照射(UVR)と関連付けられているが、UVRが黒色腫発生を誘導する分子機構は明らかではない。黒色腫で広く見られる体細胞変異はBRAFのV600E置換であり、これは黒色腫発生の早い段階で起こる。今回我々は、BRAF(V600E)マウスモデルを用いて、発がん性BRAFに誘導される黒色腫発生をUVRが促進する機構を調べた。メラノサイトにBRAF(V600E)を発現するマウスでは、ヒトの軽度の日焼けを模倣した1回のUVRによって、メラノサイトのクローン増殖が引き起こされ、UVRの反復で担黒色腫量が増加した。本論文では、日焼け止め[UVA防御力が高く、UVB日焼け止め指数(SPF)が50]がUVR誘導性黒色腫の発症を遅延させるが、部分的な保護効果しかもたらさないことを示す。UVRに曝露した腫瘍では一塩基変動の数が増加し、事例の約40%でTrp53腫瘍抑制因子に変異(H39Y、S124F、R245C、R270C、C272G)が見られた。TP53はヒトの非黒色腫皮膚がんのUVR標的として広く認められているが、黒色腫では主要な役割を持たないと考えられている。しかし今回、マウスで変異型Trp53がBRAF(V600E)誘導性の黒色腫発生を促進し、ヒト黒色腫でTP53の変異がUVR誘導性DNA損傷の証拠と関連することが明らかになった。従って、ヒトでUVRが後天性母斑に関連するという疫学的データを考えるための機構的手がかりが得られた。また、TP53/Trp53がBRAF(V600E)と協調して黒色腫を誘導するUVR標的遺伝子であることが確認され、UVRが黒色腫発生を促進する仕組みに関する分子レベルの手がかりも得られた。今回の研究は、黒色腫リスクのある人に日焼け止めによる保護を促す公衆衛生キャンペーンの正当性を実証している。

