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構造生物学:抗血栓薬と複合体を形成したヒトP2Y12受容体の構造

Nature 509, 7498 doi: 10.1038/nature13083

P2Y受容体(P2YR)はプリン作動性Gタンパク質共役受容体(GPCR)ファミリーの1つで、細胞外ヌクレオチドにより活性化される。ヒトでは、異なる機能を持つP2YRが全部で8つ発現されていて、それらはP2Y1様受容体とP2Y12様受容体へ分類される。これらの受容体のリガンドは電荷を持つ分子であり、in vivoで生物学的利用能と安定性が比較的低いことが一般的であるため、この受容体ファミリーの解明は進んでいない。P2Y12Rは血小板活性化と血栓形成を調節していて、代謝を経て共有結合するようになるプロドラッグのクロピドグレル(Plavix)やプラスグレル(Effient)、それに受容体に直接作用するヌクレオシド類似体のチカグレロル(Brilinta)などのP2Y12Rを標的とする複数の抗血栓薬が、脳卒中や心筋梗塞の防止用に認可されている。しかし、これらの薬剤の限界(例えば、クロピドグレルの作用の半減期が非常に長いことやチカグレロルの特徴的な有害作用プロファイルなど)から、新世代のP2Y12R阻害剤の開発が医学的に必要だと考えられる。今回我々は、非ヌクレオチドである可逆的アンタゴニストAZD1283と複合体を形成したヒトP2Y12Rの2.6 Å分解能での結晶構造を報告する。その構造から、ヘリックスVが目立つ真っすぐなコンホメーションをとっていることが分かった。この点で、P2Y12Rは他の既知のクラスA GPCRの構造と区別される。AZD1283が結合した状態では、GPCRのヘリックスIIIと細胞外ループ2の間に形成されたよく保存されたジスルフィド架橋が観察されず、動的であるように見える。AZD1283結合部位の詳細な構造と共に、細胞外界面の解析により近傍にあるリガンド結合領域が明らかになり、この両方のポケットがジヌクレオチドの結合に必要であると考えられる。この構造から、薬剤候補となる改良型P2Y12Rリガンドやアロステリック修飾薬の開発に必須の知見が得られる。

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