Letter
化学:分子振動を用いて触媒反応の選択性を調べる
Nature 507, 7491 doi: 10.1038/nature13019
反応性と選択性の根底にある分子特性の描写は、物理有機化学の中核であり、こうした知識を用いて、改良合成法の設計に関する情報を得たり、新しい化学変換を突き止めたりできる。従って、反応性と選択性の傾向に影響を及ぼす特性、すなわち分子パラメーターを数学的に表現することが最も重要である。これらの分子パラメーターを実験結果と結びつけることによって得られた相関は、自由エネルギー関係と定義されることが多く、この相関を用いて、選択性の起源を評価したり実験的に検証可能な新しい仮説を創出したりできる。この種の相関が成功する前提は、系統的に摂動を受けた分子特性が、触媒、基質、そして選択性の決定に関与するあらゆる反応成分の間の遷移状態相互作用に影響を与えるということである。有機分子の古典的な物理的記述子、例えば、Hammett、Taft、Chartonパラメーターなどは、個々の電子的効果や立体効果を別々に探ろうとするものである。しかし、これらのパラメーターは、複数の分子特性に対して、同時に起きる非加算的な変動を扱うことができないため、有用性が限られる。今回我々は、赤外放射に対する分子の振動応答に基づくパラメーター系を用いて、注目する位置で立体効果と電子的効果が関連し合う反応に関する選択性の傾向を数学的にモデル化し予測できたことについて報告する。開示したパラメーター系は、力学的に導かれたものであり、化学系や生物系の研究において幅広い応用が考えられるはずである。

