オプトメカニクス:ナノ機械トランスデューサーによる電波の光学的検出
Nature 507, 7490 doi: 10.1038/nature13029
微弱な高周波信号やマイクロ波信号の低損失伝送と高感度再生は、普遍的で困難な課題であり、電波天文学、医用画像、航法、古典通信や量子通信において極めて重要である。高周波信号を光搬送波へ効率良く上方変換できれば、銅線を通す代わりに光ファイバーを通して伝送が可能となり、損失が大きく減少し、量子限界信号検出において日常的に使われている確立された一連の量子光学技術を利用できる。共振器オプトメカニクスの研究によって、ナノ機械発振器が、マイクロ波場と光場のいずれとも強く結合できることが示されている。本論文では、高品質のナノ膜を使う最近の提案に従って、こうした機能の両方を持つ室温光電気機械トランスデューサーを実証する。高周波共振回路の電圧ゆらぎと膜変位の間に強い結合を生じさせるのに10 V以下の電圧バイアスで十分であり、同時にこの膜変位は膜の表面で反射した光と結合する。高周波信号は、量子限界感度で光位相の変化として検出される。対応する半波長電圧はマイクロボルト領域にあり、標準的な光変調器の場合より数桁以上低い。測定された共振回路のジョンソン雑音800 pV Hz−1/2を超えた分のこのトランスデューサーの雑音は、光の量子雑音と膜の熱ゆらぎから成り、電波天文学や核磁気画像法への有望な応用の雑音レベルを支配する。1 mWの光強度で電気機械的な共同性(cooperativity)として約150を選んで平衡させると、これらの寄与はそれぞれ60 pV Hz−1/2であると推定される。膜の雑音温度は、300 Kをこの共同性で除したものである。観測された共同性の最大値は6,800であり、この値から射影雑音温度40 mKとの感度限界5 pV Hz−1/2が得られた。古典的な電子信号の全光超低雑音検出に対する今回の方法によって、低周波量子信号の光領域へのコヒーレントな上方変換の準備ができた。

