微生物学:大腸菌K-12におけるスルホ糖解糖は生物地球化学的硫黄循環の切れ目を閉じる
Nature 507, 7490 doi: 10.1038/nature12947
スルホキノボース(SQ、6-デオキシ-6-スルホグルコース)は、全ての高等植物、コケ類、シダ類、藻類とほとんどの光合成細菌の光合成を行う膜に存在するスルホリピドの極性頭部基であることが50年も前から知られている。SQはまた、いくつかの非光合成細菌でも見つかっており、一部の古細菌のS層(細胞外被の一部)にも含まれる。SQの年間推定生産量は100億トン(10ペタグラム)であり、従ってSQは自然界の有機硫黄のかなりの部分を構成している。自然界ではSQは細菌によって分解される。細菌には少なくとも3種類の分解経路が存在することを示す証拠があるが、スルホ糖の解糖経路は提案されてはいるものの、3つの経路のいずれについても酵素反応やそれに関わる遺伝子は明らかにされていない。今回我々は、最も広く利用されている原核生物モデルである大腸菌(Escherichia coli)のK-12株が、標準的な解糖系に加えてスルホ糖の解糖分解を行っていることを明らかにする。SQは、精製した異所性発現酵素[SQイソメラーゼ、6-デオキシ-6-スルホフルクトース(SF)キナーゼ、6-デオキシ-6-スルホフルクトース-1-リン酸(SFP)アルドラーゼ、3-スルホラクトアルデヒド(SLA)レダクターゼ]を用いて確認された新しい4つの反応によって異化されることが明らかになった。これらの酵素は10個の遺伝子からなるクラスターにコードされており、そこにはスルホリピド全体の調節、輸送、分解がコードされているらしい。この遺伝子クラスターは、入手可能な大腸菌ゲノムのほぼ全て(> 91%)に存在し、腸内細菌科の細菌に広く存在する。この経路では、ジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)が生じて大腸菌のエネルギー保存と増殖に使われ、スルホン化産物である2,3-ジヒドロキシプロパン-1-スルホン酸(DHPS)が排出される。DHPSは他の細菌によって無機化され、こうして細菌群集内のイオウ循環が完了する。

