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細胞:ヒト誘導多能性幹細胞における環状染色体の細胞自律的な修正
Nature 507, 7490 doi: 10.1038/nature12923
環状染色体は、一般的に、先天異常、精神障害および成長遅延に関連する染色体構造異常である。環状染色体は、1本の染色体の長腕と短腕が融合することで形成され、末端の大規模な欠失を伴う場合がある。このような大規模な異常は多数の隣接遺伝子を巻き込むような深刻な影響を及ぼすため、環状染色体に関連する疾患に対する可能な治療戦略は提案されていない。細胞分裂過程において環状染色体は不安定な挙動を示すため、生存能力が低く、細胞死率が高い異数性細胞を継続的に生み出すことがある。この染色体不安定性がもたらす全般的な結末は、実験モデル系ではほとんど研究されてこなかった。今回我々は、大規模な欠失を伴う環状染色体を含む患者由来の繊維芽細胞からヒト誘導多能性幹(iPS)細胞を作製した。そして、再プログラム化された細胞では異常な染色体が失われ、代償性の片親性ダイソミー(UPD)機構を介して、野生型ホモログが複製されていることを見いだした。欠失が修正された同一の片親性ダイソミーを持つ正常核型のiPS細胞は、共存する異数性細胞集団より速く増殖したので、本来の染色体異常が除去された患者由来iPS細胞を迅速かつ効率的に単離できる。今回の結果は、細胞再プログラム化が、環状構造を伴う大規模な染色体異常を持つ細胞で、多くの遺伝子にわたる複合的な機能喪失を回復させる「染色体治療」の手段となるという、これまでとは根本的に異なった機能を持つことを示唆している。さらに、この研究は、ヒトの発生や疾患に大きく関わる染色体数の制御機構を研究するための実験的に扱いやすいヒト培養細胞系を提供する。

